発信を増やしても売れないとき、直すのはどれか
直すのは量ではなく、どこで止まっているかの特定という話
投稿を増やす。それでも売れない。もっと増やす。この繰り返しの中にいる作家から相談を受けることがあります。今回は、その状態で最初に直すのはどこか、という問いについてです。
結論から書きます。直すのは発信の量ではなく、自分がどこで止まっているかの特定です。作家が収益化でつまずく構造的な原因は、評価構造のズレ、回路の断絶、条件設計の欠如の3つに整理できます(この連載の土台にしている三敗因構造です)。発信量を増やすことが効くのは、このうち1つの、さらに一部分だけです。残りの場合、量を増やすほど疲弊だけが増えてしまいます。
量と成果が比例しないという実測
まず私自身の数字です。私のThreadsは週に3.1万閲覧まで届く週がありますが、メルマガ登録は直近4週で0.42件/投稿でした。閲覧の量と、次につながる数は、まったく別の動き方をします。
サイト側でも同じ構造が見えます。GA4で測ると、私のサイトの表示の約9割はアートではない旧テーマの記事で、平均滞在は15〜60秒。一方、作家向けの新しい記事群は表示こそ1割ですが、滞在は300〜550秒の読了型です。量が出ている場所と、深く読まれている場所は、一致していませんでした。
では読者は何を深く読んでいるか。テーマ別の滞在時間を並べます。
最も長く読まれているのは、どこにいれば声がかかるのか、何が評価されているのか、という記事です。読者の詰まりは投稿の量ではなく、構造の側にある。少なくとも読まれ方のデータはそう示しています。
選ばれない理由は3種類しかなかった
美術館で作家の選定に関わっていたころ、選ばれない理由を突き詰めると、いつも3種類に行き着きました。
物差しが合っていない(良い作品だが、この企画の評価軸とは別の良さだった)。
そもそも視界に入っていない(検討の場に名前が届く経路がなかった)。
受け入れる準備が整っていない(作品リストや輸送条件など、扱うための情報が揃っていなかった)。
技術の不足が理由だったことは、記憶にあるかぎりほとんどありません。三敗因構造は、この現場の実感を作家側から見直したものです。
3つの敗因と、ありがちな誤った処方
それぞれの症状と、そこでよく選ばれてしまう対処を並べます。
発信量を増やすことが効くのは、回路の断絶のうち、到達が足りない場合だけです。評価構造がズレたまま量を増やせば、ズレた見え方が拡散されます。条件設計が欠けたまま量を増やせば、受け止められない問い合わせが増えるだけです。
どこで止まっているかを、数字で切り分ける
自分がどの敗因にいるかは、3つの問いで順に確かめられます。
問1) 作品は見られているか。
閲覧数や表示回数がそもそも小さいなら、止まっているのは到達、つまり回路の入口です。ここだけが、量と頻度の改善が効く領域です。
問2)見た人から、深い反応があるか。
閲覧はあるのに保存・返信・読了といった濃い反応がないなら、評価構造のズレを疑う段階です。見せているものと、相手が判断に使っている基準が合っていない。直すのは量ではなく、翻訳、つまり価値の見せ方の変換です。
問3)深い反応を、取引につなぐ準備があるか。
反応はあるのに先へ進まないなら、条件設計の欠如です。価格、購入方法、作品リスト、アーティストステートメント。相手が扱えると判断するための前提が揃っているか。ここも量とは無関係です。
数字が最初に途切れている場所が、直す場所です。
私の場合、問1は通過していて(週3.1万閲覧)、詰まりは問2と問3の間にあることが登録数の実測から見えています。だからいま増やしているのは投稿数ではなく、信頼を積む型の投稿と、受け皿の整備です。(なので今週から投稿数を減らすことにしました)。
まとめ
発信を増やしても売れないとき、直すのは、三敗因のうち数字が最初に途切れている場所です。到達が足りないなら量は効きます。そうでないなら、量の外に原因があります。切り分けの前に増やさない。それだけで、疲弊の大半は避けられると考えています。
何かがうまく回っていない、その原因をぜひ探ってみてください。
前回の記事: SNSを決めたあと、最初に設計するのは、どれか







これは本当にクリエイターや作家、僕のようなデザイナーはよくよく考えた方がいいですね。
風茜さんの記事の中には自分の回路をうまく設計されているケーススタディが載せられていますが
殆どの「創る人」たちは失敗していると思います。
理由は「良いモノを創れば売れる」という発想が根底にあり、それを「届ける力」に注力していない。
「生み出す力」と「届ける力」が両方が必要だと自分のデザイナー人生の経験則から見ても思います。